つわり

つわりについて

つわり 女性つわりは妊娠初期に現れる症状で、程度や内容に個人差が大きく、初めての妊娠では不安に感じると思います。つわりの原因や対処法、注意したい症状などについて事前に知っておくことで不安を解消し、つらい症状を上手に軽減しましょう。

つわりが始まる時期

つわりが始まる時期には個人差があり、早い場合には月経の遅れに気付いた時点で症状が現れることもあります。一般的には妊娠5~6週からはじまり、症状が重くなるのは妊娠8~10週あたりで、妊娠15~16週頃には症状は改善するとされています。中には、妊娠期間を通じて1度も症状を起こさない方もおられます。ほとんどの場合は妊娠16週までに症状は消失しますが、出産直前まで症状が続く場合もあります。

つわりの症状

つわりの症状は多岐に渡りますが、代表的な症状に吐き気や嘔吐、匂いに対して強い反応を起こす、眠気・イライラ・頭痛などがあります。症状の内容や程度も大きく変わります。

吐き気や嘔吐

吐き気やむかつき、胃や胸の不快感があり、食べても吐いてしまうことがあります。空腹時には吐き気が強くなり、食事ができなくなることもあります。また、食べものを口に入れていないと吐き気が起こる食べつわりが起こることもあります。

匂いに対して強い反応を起こす

妊娠する前には気にならなかった匂いに強い不快感を覚える症状です。妊娠によって自律神経のバランスが崩れることで生じていると考えられています。
苦手になる匂いは様々で、炊きたてのご飯やアロマなど、以前はいい香りとして感じていたものにも反応してしまうことがあります。

眠気・イライラ・頭痛

妊娠することでホルモンバランスが大きく変化し、その影響を受けて自律神経のバランスが崩れやすくなり、眠気や過眠、イライラ、頭痛や肩こりなどの症状を起こします。こうした症状がある時には無理をすると症状が悪化しやすいので、注意して下さい。

つわりの原因

妊娠初期にはホルモンバランスが急激な変化を起こします。つわりは、ヒト絨毛性ゴナドトロピン (hCG)、プロゲステロン (黄体ホルモン)、エストロゲン (卵胞ホルモン)といったホルモンが関与して生じていると考えられています。プロゲステロンとエストロゲンは出産に向けて比較的ゆるやかに上昇していきますが、ヒト絨毛性ゴナドトロピン (hCG)は妊娠初期に急激な上昇を短期間に起こして10週頃にピークとなり、その後急激に減っていきます。この変化が一般的なつわりの時期と重なることから、ヒト絨毛性ゴナドトロピン (hCG)がつわりに関与していると推察されています。
吐き気や嘔吐などの不快感はホルモンが脳にある嘔吐中枢を刺激することで生じ、自律神経のバランスが崩れることで匂いに対して過敏になる、眠気やイライラ、頭痛などを起こします。また、ホルモンの影響で腸の働きが抑制され、膨満感や吐き気などの症状を起こすこともあります。
また、妊娠による代謝などの変化によって急激な血糖値の上昇や低血糖を起こすこともあります。

つわりの個人差

つわりは個人差が大きく、つわりの起こるメカニズムはまだはっきりとわかっていないことから、個人差が生じる原因もわかっていません。同じ方でも第1子と第2子ではつわりの内容や程度が異なることもありますので、体質や環境など以外にも多くの要因が複雑に関わっていると考えられています。

ただし、つわりを悪化させる要因はある程度判明しており、症状軽減を目指した対処法もあります。つわりと上手に付き合う方法を見つけましょう。

つわりの軽減

つわりを悪化させる要因をできるだけ取り除くことで、つわりの症状軽減に役立ちます。

生活習慣

栄養の偏りはつわりを悪化させる要因になります。食事がとれる場合は、炭水化物、タンパク質、ビタミン、ミネラル、食物繊維をバランスよくとりましょう。
また、運動不足も血行や代謝が低下し、ホルモンバランスや自律神経のバランスが崩れてつわりを悪化させやすくなります。激しい運動は厳禁ですが、軽い散歩などは可能ですので、ご自分の状態に適した運動内容について医師に相談して下さい。深呼吸や腕を伸ばす軽いストレッチだけでもリフレッシュ効果が期待できます。

精神的な要因

ストレスもつわりを悪化させる要因になります。妊娠は喜ばしいことですが、新しい命を育む責任感がプレッシャーとなったり、不安や戸惑いを感じたりといったストレスも伴います。ストレスを上手に解消しましょう。また、つわりがつらい期間には家事や仕事の負担を軽減できるよう家族や周囲の方に協力を求めることも検討しましょう。

他には、小半夏加茯苓湯や人参湯などの漢方薬を服用することで、つわりを軽減できることもあります。

つわりの症状に合わせた対処法

吐きつわり

つわりで吐き気が起こるだけでなく、嘔吐してしまうことがあります。嘔吐は体力を大きく消耗し、心身を疲れさせます。つわりの時期は水分と葉酸の摂取は重要ですが、あまり食べられなくても赤ちゃんに悪影響を及ぼすことはないため、無理して食べる必要はありません。
空腹は強い吐き気につながりやすいので、少量をこまめに食べることを心がけましょう。また、簡単につまめるものを常に用意しておくことも効果的です。
つわりの症状が出なくなったら食事時間を守って栄養バランスに気を配った食事が重要になりますが、つわりの時期は規則正しい食事時間を守るよりも、食べられる時に少しずつ食べることがつわりの軽減につながります。
ただし、嘔吐を繰り返す場合は脱水症状が進行し、時として命に関わることもありますので、十分な水分摂取ができない場合や嘔吐を繰り返す場合は、速やかに受診して下さい。

食べつわり

食べていないと気持ちが悪くなる状態です。食べすぎてつわりの症状を悪化させることがあり、血糖値の急激な上昇や低血糖を起こしやすくなるなどのリスクがあります。この場合も少量をこまめに食べる方法が適していますが、ご飯やパン、甘いものなど糖質は血糖値を急上昇させて短時間で空腹感を生じさせやすいので、食べすぎないよう注意して下さい。

匂いつわり

炊きたてのご飯や煮物、揚げ物など、食べものの匂いで吐き気が起こる場合、さめてから少量を食べるという対処法が有効です。
また、ゴミやタバコなど一般的にも悪臭と感じられるもの以外にも、アロマや柔軟剤など妊娠前には良い香りとして楽しんでいた匂いで吐き気を起こすこともあります。苦手な匂いのものをつわりの期間中は身近に置かないようにして、化粧品や石鹸、洗剤などは無香料のものを使うようにしましょう。

眠りつわり

いくら眠っても眠いという症状です。可能であれば無理せず、眠いと感じたら眠ってしまうのが最も簡単な対処法です。仕事や家事などの合間に眠気が生じたら、顔を洗う、会話する、ストレッチや散歩をするなど、リフレッシュをして意識を切り替えましょう。

受診が必要なつわり

吐き気や嘔吐、食欲不振など、強い消化器症状があるつわりは妊娠悪阻と呼ばれています。症状が進行すると脱水を起こして危険な状態になる可能性があります。嘔吐を繰り返すなど、つわりが重すぎると感じたら速やかに受診して下さい。状態によっては、点滴や入院が必要になることもあります。入院が必要な症状がある場合は、他の高次医療機関をご紹介させて頂きます。

心身のリフレッシュを

身体への負担なくできる手足のマッサージ、軽いストレッチ、深呼吸などは、気分をリフレッシュさせ、つわり軽減に役立ちます。
また、身体を締め付けない服装や楽な姿勢を保てる大きなクッションや抱き枕なども、腰痛や疲労軽減、スムーズな入眠といった効果を期待できます。
また、趣味や友達との会話など、自分の楽しみのための時間をしっかりつくることもストレス解消には不可欠です。お腹の赤ちゃんだけでなく、ご自分の心身もしっかりいたわってあげましょう。

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