がん検診・ブライダルチェック

がん検診

女性特有のがんについて

子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんは女性特有のがんです。子宮頸がんは、子宮下部にある管状の部分 (赤ちゃんの通り道である産道になる部分)にできるがんで、子宮本体である袋状の部分 (赤ちゃんが育つ部分)にできるのが子宮体がんです。子宮に生じるがんの70%は子宮頸がんとされています。卵巣がんは卵巣に生じるがんです。
いずれのがんも、昨今では発症年齢が若くなっています。女性の社会進出に伴う晩婚化、出産年齢の高齢化もあいまって、妊娠出産前にこれらのがんを発症し、妊娠出産を断念せざるを得なくなることも少なくありませんので、対策は重要です。

卵巣がん

内診や経腟超音波 (エコー)検査により卵巣の腫れを調べ、必要に応じてCT検査、MRI検査などの画像検査を行います。卵巣は体の外部と交通しておりません。胃や大腸、子宮のように、体の外部と交通している臓器であれば、内視鏡やエコーを用いて、病変部を採取・診断することや、早期診断・治療が可能です。また、体の外部と交通していることで、出血などの症状が出現し、早期発見されることがあります。

卵巣がんはこれらの特徴を欠き、症状が出にくく、検診ができず、早期診断・治療ができないため、「沈黙の臓器」ともいわれております。卵巣が腫れて大きくなると、腹痛や腹部膨満感などの症状が出現することがありますが、症状が出現した段階では既に進行していることが多いです。また、卵巣が腫れて大きくなると、捻れたり破裂したりすることがあり、ある日突然急激な腹痛を起こすことがあります。

子宮頸がん

日本では毎年約1万人が子宮頚がんと診断され、約3千人が亡くなっています。ほとんどの場合、ヒトパピローマウイルス (HPV)の感染によって生じており、1度でも性経験があれば誰でもこのウイルスに感染する可能性があります。従って、ワクチン接種による予防が推奨されます。早期の自覚症状に乏しいのですが、がん検診を定期的に受けて早期発見できれば適切な治療で完治が期待できます。
子宮頸がんのがん検診では、特殊なブラシを挿入して子宮頸部の細胞を採取し、病理検査を行って異常細胞の有無や精密検査の必要性を判断します。

子宮頸がんの主な原因であるヒトパピローマウイルス (HPV)

HPVは皮膚や粘膜にできものやイボをつくるウイルスです。300種類以上のタイプに分かれており、そのうち、主に6、11、16、18、31、33、45、52、58型などが子宮頸がんを引き起こすハイリスク型HPVです。HPVは子宮頸がん以外にも、尖圭コンジローマ、咽頭がん、肛門がん、直腸がん、(男性の)陰茎がんなどの発症に関与します。

ハイリスクHPVは、性交渉によって感染します。性交渉経験がある方であれば誰もが感染する可能性があり、多くの女性が生涯で1度は感染すると考えられているほどありふれたウイルスです。感染してもほとんどの場合は免疫によってウイルスを撃退できますが、約10%は持続感染し、数年後にがん化することがあります。子宮頸がんの発症予防として、性交渉前のワクチン接種が有効です。

日本で承認されているHPVワクチンは、16、18型に対する2価ワクチン (サーバリックス)、16、18型に加え6、11型に対する4価ワクチン (ガーダシル)、上記9種の型に対する9価ワクチン (シルガード9)があります。

2023年4月より、小学校6年生から高校1年生相当の女子を対象に、9価ワクチンが承認されました。

また、2024年4月より、同世代の男子を対象に、4価ワクチンが承認されました。

HPVワクチンの接種を希望される方は医師にご相談ください。


コルポスコピー検査による確定診断

がん検診で子宮頸部の細胞診を受けた結果、精密検査が必要となった場合にはコルポスコピーという特殊な拡大鏡を用いて、子宮頸部を直接観察し、病変部分の組織を採取します。採取した組織の病理検査を行い、子宮頸がんや、子宮頸がんの前段階の病変である子宮頸部異形成を診断します。

子宮体がん

子宮体がんは、妊娠した際に胎児を育てる袋状の子宮体部にできるがんで、子宮体部の内側にある子宮内膜に発生することから子宮内膜がんと呼ばれることもあります。子宮内膜は卵巣から分泌される卵胞ホルモン (エストロゲン)の作用によって増殖し、黄体ホルモン (プロゲステロン)の作用によって剥離し、月経を起こす組織です。日本では患者数が増加傾向にあり、閉経前後に発症リスクが高くなるとされています。

子宮体がんと卵胞ホルモン (エストロゲン)

卵胞ホルモン (エストロゲン)が子宮内膜の発育を促すことから、卵胞ホルモン値が高いと子宮内膜増殖症から子宮体がんになりやすいとされています。卵胞ホルモンは卵巣以外にも脂肪組織で作られます。閉経が近くなると、卵巣からの卵胞ホルモン・黄体ホルモン (プロゲステロン)ともに産生量が減少しますが、肥満の場合、脂肪組織で卵胞ホルモンが多く産生され、子宮内膜が増殖し、黄体ホルモンによる子宮内膜の剥離作用を上回るため、子宮体がんのリスクが高まります。また、卵胞ホルモンと黄体ホルモンのバランスが不均衡になる無排卵性月経周期、卵胞ホルモン製剤のみのホルモン療法を受けている場合もリスクになります。

なお、一部の子宮体がんは、遺伝性腫瘍 (リンチ症候群)として発症することがあり、この場合は大腸がんをはじめとした他の消化器がん、腎臓がん、皮膚がんなどの血縁者がいる場合に疑われます。

また、特に高齢者においては、卵胞ホルモンとは関係なく発症し、悪性度が高い傾向にあります。

子宮体がん検査

子宮内部に細い棒状の器具を入れ、子宮内膜細胞を採取し、病理検査で異常細胞の有無を確かめる子宮内膜細胞診を行います。子宮内部に挿入しますので、検査中の痛みや出血などを起こすことがあり、子宮の入口が狭い場合には子宮内に器具を入れることができない場合もあります。
超音波検査で子宮内膜の状態を確かめることで子宮体がんの可能性を調べることもできます。子宮体がんでは子宮内膜が肥厚していることが多く、早期診断・治療の手がかりになることがあります。リスクが高い場合には子宮内膜組織診が必要であり、MRI検査などを検討する場合もあります。必要に応じて連携している高度医療機関をご紹介し、速やかに適切な検査と治療を受けて頂けるようにしています。

ブライダルチェック

ブライダルチェックとは

妊娠・出産を予定している女性のために行う婦人科検診です。
ブライダルチェックでは、不妊や流産など妊娠・出産に関するリスクを知るために子宮・卵巣の疾患や状態、性感染症などの有無を調べることができます。こうした疾患のほとんどは、早期発見して適切な治療を受けることで、完治が期待できます。
将来の妊娠を考えている場合には、早めに受けておくことでライフステージをしっかり計画でき、スムーズな妊娠・出産につなげることができます。
当院では、婦人科受診が初めてという方にもリラックス頂けるよう、患者さんに合わせた診療を行っております。検査内容に不安があるなど、気になることがございましたら、遠慮なく医師にお伝えください。

こんな方にブライダルチェックをお勧めしています

  • 将来の妊娠・出産を考えている
  • 女性特有の疾患があるか確かめたい
  • 不妊につながる疾患、胎児に影響がある疾患などの有無を確かめたい
  • 避妊・妊活の知識を得たい
  • 安全な妊娠や出産につながる効果的な準備について知りたい
  • 月経や女性の身体に関するちょっとした悩みについて相談したい

ブライダルチェックでは、妊娠・出産を予定している女性が、無事に妊娠・出産ができるように、母子感染や不妊、流産などのリスクが高まる疾患の有無を調べます。それ以外にも、女性の身体や月経、避妊、妊活、妊娠や出産などについても幅広くご相談いただけます。

ブライダルチェックの内容と費用

当院で実施しているブライダルチェックの内容と費用は以下の通りです。

Aコース (25,000円)

内診、経腟超音波検査、子宮頸部細胞診、ハイリスクグループHPV-DNA検査、淋菌およびクラミジアPCRぬぐい

*Aコースは内診で完結する検査一式です。子宮頸癌とその原因となるパピローマウイルスの検査を行います。経腟超音波検査で子宮筋腫や卵巣腫瘍などの病気の有無を調べます。また、不妊や性感染症の原因となる淋菌やクラミジアについて、おりものの検査を行います。

Bコース (55,000円)

Aコースに加え、以下の項目を採血で調べます。
末梢血、甲状腺機能 (FT3、FT4、TSH), 血糖値、女性ホルモン (LH, FSH, エストラジオール、プロゲステロン、プロラクチン)、AMH (抗ミューラー管ホルモン)、感染症項目 (風疹HI, HBs抗原、HCV抗体、梅毒RPR, HIV抗原・抗体スクリーニング、HTLV-I抗体(CLIA)、水痘(CF), ヘルペス(CF), トキソプラズマIgG, サイトメガロウイルスIgG)

*Bコースの採血で調べる項目は貧血、血糖値、甲状腺機能、卵巣機能など、不妊症の原因となる項目です。また、児の先天奇形や母子感染のリスクとなる感染症項目一式につきましても調べます。

TOPへ