産科

妊婦健診とは

妊婦健診とは妊婦健診は、お母さんの健康状態と、赤ちゃんの健康と発育状態を把握するための定期検査です。妊娠は病気ではありませんが、健康上の様々なリスクを伴い、適切な対応が必要となるため、妊婦健診は重要です。
特に妊婦さんに多く、注意が必要なのは妊娠高血圧症候群妊娠糖尿病です。妊娠中は血圧や血糖値が高くなる傾向があり、それらを放置していると胎盤の血流循環が悪化し、流産や早産のリスクが高まり、赤ちゃんの病気につながる可能性もあります。血圧や血糖をはじめ、身体の状態を妊婦検診で定期的に調べましょう。
また、妊婦さんが突然体調不良を起こした場合は、早急に適切な処置や治療を受ける必要がありますが、その場合にも定期的に妊婦健診を受けていれば妊娠週数や健康状態、感染症の有無、高血圧などのリスクなどがわかりますので、迅速に適切な処置や治療を受けられます。妊婦健診を受けていないと、適切な処置や治療を行うためにいくつもの検査が必要になり、対応が遅れ、母児ともに危険が及ぶ可能性があります。
安全に出産を迎えられるよう、定期的な妊婦健診をしっかり受けて下さい。

初回受診から予定日の決定まで

生理の遅れや吐き気があり、市販の妊娠検査薬で陽性反応がみられた等、妊娠している可能性がある場合には、できるだけ早く受診して下さい。一般的に、生理予定日1週間後から妊娠検査が可能です。

妊娠判定検査内容

妊娠しているかどうかを確かめるために上記の検査を行います。尿検査で妊娠反応を確認し、経腟エコー検査で子宮内に妊娠しているか (子宮外妊娠の可能性はないか)どうかを評価し、赤ちゃんの心拍を確認します。場合によっては、血液検査を行うこともあります。

妊娠判定の検査は自費診療ですが、ほとんどの自治体では予定日決定後、母子手帳と共に妊婦健診費用補助券の交付を受けられます。

なお、自治体によっては妊娠診断書がないと補助券が交付されないことがありますので、事前に自治体のホームページなどでご確認下さい。

妊娠初期 (~20週まで)

妊婦健診内容 (4週間に1回)

妊娠初期の超音波検査は、赤ちゃんの心拍、子宮の状態、子宮筋腫や卵巣嚢腫の有無等を調べることができ、母子の状態を正確に把握するためには欠かせない検査です。

超音波検査は、リスクがなく何度でも行える検査ですので安心して受けられます。

妊娠初期の超音波検査では、ダウン症候群などの染色体異常を示唆する所見であるNT (Nuchal Translucency)肥厚の程度を評価します。NT肥厚が目立つ場合は染色体異常の可能性がありますので、出生前診断 (NIPT)の対象となります。

原則として経腟超音波検査は毎回行います。

妊娠20週前後に実施する経腹超音波検査は胎児スクリーニングとも言います。胎児の発育が週数相当か、心臓や消化管などの臓器に先天的な病気がないかを診るために、時間をかけて行います。

妊娠中期 (20~35週)

妊婦健診内容 (2~3週間に1回)

妊娠中期からは体調変化が起こりやすくなるため、妊婦健診が2週間に1回となります。
妊娠糖尿病が疑われる場合、糖負荷試験を行います。
この時期の血液検査では血算 (全血球計算)を行い、貧血の有無、白血球数、血小板数の異常などを確かめます。貧血が判明した場合には鉄剤処方や食事指導を行います。
経腹超音波検査は主に28週と34週頃に実施しますが、胎児の向き (逆子でないか否か)や発育に応じて適宜追加実施します。

妊娠後期 (36週~出産まで)

妊婦健診内容 (1週間に1回)

妊娠後期では、いつ破水したり陣痛が来たりしてもおかしくない時期ですので、1週間に1回の健診を行います。なお、予定日を過ぎた場合には、状況に応じて1週間に2回健診を行うこともあります。
NST (ノンストレステスト)は、横になった状態で、お母さんのお腹にセンサーを装着して子宮収縮の有無、赤ちゃんの心拍をモニタリングします。

通常は36週以降に行いますが、早産のリスクがある方には早めに実施することもあります。

*当院では分娩対応は行っておりません。あらかじめ他の医療機関で分娩予約をして下さい。

妊娠中の身体の変化

つわり

つわりつわりのはじまる時期や症状の程度には個人差があり、早い方ですと生理が少し遅れた時点でつわりが起こりますが、最後までつわりを起こさない方もいます。つわりの時期には、空腹になると香りや味といった刺激を強く感じやすくなりますので、食べられるものを少しずつ食べるようにしましょう。
症状が強い場合は早めに主治医に相談し、吐き気が強く十分な水分摂取ができない場合には、速やかに受診して下さい。

受診目安

※水分摂取が十分ではない場合、点滴で水分補給を行いますが2時間程度かかります。点滴を希望される場合には、午前の早い時間にご予約下さい。なお、すでに脱水症状がみられ、緊急性が高い場合には、他の医療機関での診療をお願いすることがあります。

食事

妊娠中のお母さんが摂る食事が赤ちゃんの発育に重要となります。お母さんの健康維持と赤ちゃんの発育のための栄養をしっかり摂るために、食生活を見直しましょう。

  • 規則正しい生活を基本に、1日3食とりましょう
  • 満腹まで食べず、腹八分目にとどめましょう
  • 野菜を中心に、栄養バランスのとれたメニューを心がけましょう
  • 不足しやすい鉄分とカルシウムを毎食、しっかりとりましょう
  • 油もの、塩気が強いもの、甘いものをとりすぎないよう気をつけましょう
  • 蒸す・網焼きなど、ヘルシーな調理法を取り入れましょう
  • レトルト食品は避けましょう
  • 早食いせず、しっかり噛んで食事には20分以上かけましょう
  • 間食や夜食をできるだけ避け、夕食は就寝の2~3時間前までに食べましょう
  • 刺身、生肉、レアや炙りなど加熱が十分ではない魚介類や肉類・生ハム・チーズなどは避けましょう

便秘

妊娠中のホルモンバランス変化により腸の働きが鈍くなり、便秘になりやすくなります。食物繊維が豊富なキノコ、海藻、野菜、コンニャク、豆腐などを意識して摂るようにして下さい。また、納豆やヨーグルト、乳酸菌飲料なども有効です。

体重

「妊娠中には2人分の栄養を摂らないと!」と考え、多く食べる方がいらっしゃいますが、妊娠中に体重が過度に増えてしまうと妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病になる可能性が高まり、胎盤の血流循環が悪化し、流産や早産をはじめ、赤ちゃんの病気につながることもあります。また、子宮や産道周辺にも脂肪がつき、難産の原因となります。
体重の増加が少なすぎると、赤ちゃんが十分に成長できなくなるため、適切な体重コントロールはお母さんと赤ちゃんの健康と、安全な出産に不可欠です。
なお、妊娠前の体型によって妊娠中の体重増加目安は変わってきます。母子手帳にある『妊婦の健康状態等』のページに必要事項を記入して適切なBMIを計算し、『妊娠中と産後の食事』を確認して適切な体重増加になるようコントロールしましょう。

適切なコントロールのためのポイント

  • 毎日、体重を測定する
  • 体重が増えすぎたら、数日間の食事内容を振り返って原因を確かめる

妊娠初期の出血

妊娠初期の出血には、着床出血をはじめ、胎盤形成に伴って生じる血腫 (絨毛膜下血腫)や子宮頸管ポリープなど、様々な原因があります。出血量は少量のことが多いですが、生理より多くなる場合は注意が必要です。

12週までの出血での受診目安

  • 生理の2日目程度、あるいはそれ以上の出血がある
  • 出血が少量でも生理痛に似た下腹部痛がある
  • 血のかたまりが出てきた

妊娠12週以降の出血での受診目安

  • 出血量に関係なく、出血があったらすぐに連絡して下さい

妊娠中の感染症

妊娠中にお母さんがウイルスや細菌、寄生虫などに感染すると、胎盤や血液を介して赤ちゃんも感染し、障害を来すことがあるため、感染予防は重要です。正しい知識をもって感染予防をしっかり行いましょう。

予防接種

妊婦初期の採血で風疹の抗体価が低いと指摘されたら、不要不急の外出をできるだけ避けて下さい。また、同居している家族に予防接種を受けてもらうことで、感染リスクを下げられます。風疹・麻疹・水痘・おたふくは妊娠中に予防接種ができませんので、出産後にお母さん自身が予防接種を受け、次の妊娠に備えて免疫をつけましょう。また、多くの自治体でパートナーの男性に対する抗体検査やMRワクチンの補助を行っていますので、お住まいの自治体で確認して下さい。
なお、妊婦さんはお腹が大きくなると肺が圧迫され、肺の換気量が少なくなり、肺炎などの呼吸器系疾患にかかりやすく、重症化しやすい等の特徴があります。インフルエンザウイルスや新型コロナウイルスのワクチンの積極的な接種をお勧め致します。

よく泡立てた石鹸で、丁寧に手を洗うことは感染予防上重要です。帰宅時、食事の前に加え、調理中に生魚や生肉、卵に触れたら必ず手洗いして下さい。また、ガーデニングやペットのトイレ掃除に際しては、使い捨て手袋の使用をお勧め致します。

体液に注意

尿や唾液をはじめとした体液は感染の原因になります。幼い子どもがいる場合、食べものの口移しを控え、おむつ交換後には必ず石鹸で丁寧に手洗いして下さい。

性生活では必ずコンドームをつけ、オーラルセックスは控えて下さい。

調理では中心まで十分に加熱

生肉や刺身は避け、肉や魚介類は中心までしっかり加熱して食べて下さい。また、生ハムなどの加工肉や殺菌されていない牛乳でつくったチーズも感染源になることがあります。
サラダで食べる生野菜も流水でしっかり洗って食べて下さい。
また、調理の際に肉・魚・卵などに触れたら、必ず石鹸で手洗いをして、包丁やまな板なども殺菌して下さい。

人混みを避ける

飛沫感染を避けるために、感染症の流行期には人混みをできるだけ避けて下さい。外出時にはマスクをして、熱や発疹、咳のある方からはできるだけ離れるようにして下さい。

運動

運動を始めるのは、安定期とされる妊娠15、6週以降が好ましいとされます。つわりが落ち着いて体調が安定してきたら医師と相談して、適度な運動を行いましょう。運動することで血行や代謝が改善し、気持ちもリフレッシュします。家事でもある程度の運動量が期待できます。ウォーキングや散歩は体調をみながら運動量を調整でき、気分転換にも役立ちます。無理せずにできる範囲で続けましょう。マタニティビクスやスイミングも有効ですが、必ず事前に医師と相談しましょう。
なお、お腹が張ったり痛みを伴う等の切迫流早産の兆候がある場合や、血圧が高い場合には、運動を控えなければならないため、事前に医師と相談しましょう。

夫婦生活

妊娠中の夫婦生活では、腹部の圧迫や無理な体勢、結合の深くなる体位は厳禁です。コンドームを必ずつけ、出血や腹痛がみられたら速やかにやめるようにして下さい。

夫婦生活では、特に妊娠中の体調を思いやることが重要です。

妊婦健診の費用

  詳細
妊娠反応検査 2,000円
妊娠初期初診 4,000円
妊娠初期再診 2,000円
妊娠初期エコー検査 6,000円
妊婦健診初回(8~12週頃)
※母子手帳交付後
25,000円
※東京都助成券10,980円使用。
血圧測定・尿検査・初期採血 (血液型、貧血、感染症、血糖など)
子宮がん検診 ※東京都助成券 3,400円使用
妊婦健診2回目以降 10,000円
※東京都助成券5,140円使用
血圧測定、尿検査、経腟エコー、クラミジアPCR
クラミジアPCR 8~12週、もしくは16~20週頃に実施します。
胎児超音波検査 ※東京都助成券5,300円使用。
20週頃、28週頃、34週頃に受けて頂きます。
中期採血 15,200円
※東京都助成券5,140円使用
*50gGCT、 貧血検査、 HTLV-1抗体検査

*GCT (glucose challenge test): 糖分を含む試薬を服用し、1時間後に血糖値を調べる検査です。本検査を行う方につきましては、別途早めの来院をお願い致します。


なお、この検査で血糖値が140 mg/dl以上の場合には、後日75g OGTT (oral glucose tolerance test)という糖負荷検査を行います。この場合、朝食を採らずにご来院頂き、空腹時に血糖値を測ります。その後糖分の試薬を服用し、1時間後と2時間後に血糖値を測ります。計3回の採血を行います。

OGTTの結果、妊娠糖尿病と診断された方につきましては、高次医療機関をご紹介させて頂きます。

 

4Dエコーを導入しています

当院では、高精度で鮮明な立体画像を得られる4D超音波診断装置を導入しています。おなかの中の赤ちゃんが動いている様子や表情などをリアルタイムでご確認頂けます。
ご希望があれば、スマートフォンで撮影頂けます。なお、当院ではエコーの動画をUSBに保存してお渡しします。


なお、4Dエコー検査は時間を要するため、原則として予約制で対応しております。ご希望される方はお電話で予約を承ります。

また、混雑状況次第では実施が難しく、別日にお願いすることがあります。また、赤ちゃんの位置や向きによっては、お顔や性別が分からないことがあります。あらかじめご了承下さい。

4Dエコーの費用は、12,000円 (USB代込み)となります。

また、実施可能週数は、妊娠20~25週となります。

双胎妊娠の方は、20週以降のなるべく早い週数でご連絡下さいますようお願いします。

赤ちゃんの位置・向きにより撮影ができない場合は、通常の妊婦健診へ切り替えさせて頂きます。その場合の費用は胎児超音波検査として5,300円となります(妊婦健康診査の胎児超音波検査の補助券をお持ちの方は、そちらを使用させて頂きます)。あらかじめご了承下さい。

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